情報収集の大切さ 3

情報収集の心掛け

昔話の「うさぎとかめ」や中国古典の「戦国策」にある北面にゆく人の話が教訓としてあるように、情報収集をすることは、目的とするところに向かうためにも重要だということがお分かりいただけたと思います。

そこで情報収集するためには、どのようなことを心掛けた方が良いかという問題が生じてきます。

万川集海(まんせんしゅうかい/ばんせんしゅうかい)

そのヒントとなるのが、昔から敵の情報収集を実践していた忍者の考え方が役立ちます。

忍者の家系に伝わってきた書籍に「万川集海」(まんせんしゅうかい/ばんせんしゅうかい)と言われるものがあります。

書籍名の意味は、万(全ての)川が(1つの)海に集まることから「伊賀甲賀の忍術の全てを記した」という意味を持つ忍術伝書で、全22巻からなります。

その万川集海では情報収集するためには「正心」が大切であると記されています。

以下、引用します。

これを現代語訳すると、次のようになる。「忍びの根幹は正心であり、陰謀や偽る策略は末端のことである。これゆえに心が正しく統御されていないときには、臨機応変の計略をめぐらすことはできないのである」。

これを現代語訳すると、次のようになる。「忍びの根幹は正心であり、陰謀や偽る策略は末端のことである。これゆえに心が正しく統御されていないときには、臨機応変の計略をめぐらすことはできないのである」。

さらにこの後では、孔子の言や『大学』などを引用しながら、「正心」の重要性を説きながら以下のように述べている。

忍びの方術は私欲のためではないのであって、無道の君主のためには謀を行うべきではないことを知っておかねばならない。

もしこの旨に背き、私欲のために忍術を行い、無道の君主を補佐して謀を行うときは、例えばいかなる陰謀を巡らしたとしてもその陰謀は必ずや露顕するに違いない。

もし露顕しなくて一旦は利潤があったとしても、ついには自身に害が及んでくることは必然の道理である。慎まなければならない。

出典元)伊賀ポータル「 伊賀忍者 > 忍者の聖地 伊賀 > 第10回 忍びの「正心」

出典URL)https://www.igaportal.co.jp/ninja/1767

私利私欲のために行うことは、いずれは自分自身に害が及ぶと述べられています。

またその正しい心、言い換えると「誠」の心がなければ、手段を選ばずに情報収集を行うことは、なんら泥棒と変わりがないとも別で述べています。「嘘は泥棒の始まり」という諺にも通じていて、とても興味深い内容でもあります。

では、昔は主君に忠誠を誓うことが主でしたが、現在ではどうでしょうか。

誠の精神を現代風に置き換えると、自分の心に素直になるといえます。当然自分だけでなく、自分以外の人もよくなることを重点においたうえで、自分の心に素直になるということです。

自分の心に素直になるには、自問自答を繰り返すことが大切です。

情報を求めていく

では情報は大人しく待って入れば入手できるのかと思っても、情報化社会の現代では、自分から情報を求めていく必要があります。ネットで検索するにもキーワードを入力することから始まります。

情報を求めていくには、基本的に知っておいた方が良いものがあります。

「孫子」の兵法

それは、中国古典でもある「孫子」の兵法です。

「孫子」を読んで、情報のあり方、捉え方を学び、それらを人生に活かすのです。孫子には、「用間編」といわれるスパイに関する内容が記載されています。

戦争は一度起こしたら勝たなければならず、もし兵士が死んだら生き返ることがありません。そこで最善の方法は、戦わずして勝つということです。

そのためには、敵の情報(敵情)を知るとは、現在いる状況を知るのと同様と考えてよいです。そもそも情報という語源は、軍事にまつわる事柄から明治時代に作られ翻訳されたものです。

人生を歩んでいく過程やビジネスで大きく失敗しないために情報収集は大切になります。時代の変化に対応するために、私自身を含めて大切な能力となってきます。

とはいえ、情報を追いすぎず、追わなすぎずということも大事になってきます。このバランス感覚は、情報収集を繰り返すことで得るしかありません。

例えば、あなたは検索した結果、このページに辿りついてと思います。

以前ある医師がこのようなことを話ていました。

「知ろうとしないのが素人」

駄洒落(だじゃれ)のようですが、簡単かつ的を得ている言葉だと思います。

知ろうとしない、というのは、常に他人任せで、自分で努力することを放棄したものです。学習する姿勢があれば、知ろうとするのはごく普通のことです。

その普通であることすらしなければ、情報弱者と言われたり、なったりするのはしかたがありません。情報弱者にならないようにするには、まずは関連した用語を知ることから始めましょう。

そして事情や言い方を知っていればトラブルが起こりにくいものです。

まず始めることは

ここまでお話してきて、あなたにできることは、まずは既存情報を収集することです。

幸い書籍、インターネット、SNSなどを通じて、現在では情報にアクセスしやすい環境になってきています。

入手した情報を、エクセルやGoogleのスプレッドシートへURL保存、お気に入り、情報収集ツールやアプリに登録して起きます。

そして、一定数揃ったところで、情報の精査を実施します。既知の情報も侮らず、再確認として取得して行きます。

しかし、調べていっても、情報を入手できない場合もあります。その場合は、いったん探すのをやめ、時間を置いてから再度調べます。

時間の経過によって、ネットなどで情報を収集することができます。

私たちは日常生活していると、いつも意識しているものに注意がいきます。

例えば歩きながらスマホをしている場合は、周りの環境に注意を払っていないため、人にぶつかる率が上がったりします。

逆に普段は興味を抱いていなかったものに注意を向けると、今まで以上に見かける機会が多くなってきます。

まずは情報を収集しようと意識することは大切なことです。

続く